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概要

少し古い資料ですが、デジタルインボイスを使用してどのように効率化につなげるか、CEF DIGITAL, November 2017 “Welcome to the Live Webinar #5: eInvoicing from a user’s perspective”に紹介されていました。

デジタルインボイスの導入では、業務の結果としての証憑書類の保存のための電子化にとどまらず、西欧の事例のように業務をデジタル化を前提として見直すことが重要です。 

証憑として考えるだけでなく、業務改善の重点書類として検討する。

Open PeppolでPeppol International Invoicing (PINT)の技術リーダーであるGeorg Birgisson氏によるとデジタルインボイスを用いた業務改善は次の4項目。

  1. デジタルインボイスをERPなどのソフトウェアに自動登録する
  2. デジタルインボイスに記載されたデータを用いて自動仕分けを行い仕分け日記帳や得意先台帳に記帳する
  3. デジタルインボイスの承認作業を効率的に行えるようにする
  4. 送金を自動化する

このうち導入効果が大きいのは、作業単価が高価な承認作業をデジタル化すること。

デジタルインボイスのワークフロー

次の図はCEFの発表資料から。
ステップ3からステップ4において、初めての取引相手からのインボイスや承認ルール(契約や注文書が確認できることなど)から外れるデジタルインボイスのみ担当者や承認者の確認・承認の手順に流すことで大幅な効率化が期待できる。また、送金手続きへの自動処理を行うことで売り手へのサービス向上にもつながる。

  1. デジタルインボイスを発行する。
  2. デジタルインボイスは、サービスプロバイダーを経て動的にワークフローに渡される。
  3. 買い手が登録している取引先であれば、デジタルインボイスには、注文書への参照IDか登録された取引への参照(例 契約番号、レンタル品の識別情報など)があるので次のステップに流れ、自動処理される。
      登録されていない取引先からのデジタルインボイスだけが、審査担当者の人手によるチェックに回される。
      審査が終了すると取引先が登録され、次のフローにデータが渡される。
  4. 登録された取引先からのデジタルインボイスは、その内容に関連したルールに従って評価/検証される。
  5. 評価/検証されたデジタルインボイスは、 動的に会計ソフトで処理される。
  6. 会計ソフトから 動的に支払いが行われる。

注文書への参照情報

デジタルインボイスには、先行する注文書への参照情報が含まれる。
ibt-013 Purchase Order Reference(購買発注書の注文番号)およびibt-132 Referenced purchase order line reference (購買発注書の明細行の参照情報)
このほかにも、いくつもの関連文書への参照情報を文書レベルや明細行レベルで記載できるようになっている。
日本版仕様(Peppol BIS Billing JP 0.9)では、明細行で請求の元となった納品書への参照情報が記載可能としています。

注1
どのような項目があるかは、公開情報を整理したNobu’s Laboratoryを参照してください。日本版仕様(Peppol BIS Billing JP 0.9)のセマンティックモデルの定義情報表示は、日本からの提案で追加されました。Peppol International Invoicing (PINT)でもBIS Billingのページレイアウトが改善される予定です。

注2
Nobu’s Laboratoryのシンタックスバインディングでは、Open Peppolのサイトとは違って、UBL2.1のXMLスキーマ定義とセマンティックモデルの定義内容を企画できるように表示しています。Open Peppolのサイトでは、Syntax binding画面で表示されるCardinalityがセマンティックモデルの定義です。これは、もともとセマンティックモデルの定義情報を表示する画面がなかったためなので、それぞれの画面がある現状構成では、それぞれの定義を表示する方がエンジニアには理解しやすいと思っており、PINT2プロジェクトでも改善を主張しています。

注3
Nobu’s Laboratoryには、デジタルインボイスの例を表示している他、スキーマトロン検証サービス、CSVから/へのデジタルインボイス変換サービスを提供しています。
プログラムは、Python3でコーディングしており、GitHubから公開しています。(GitHubはこちら
開発中なので不具合があるかもしれません、お気づきの点があればお知らせいただけると助かります。
CSVは、複数税率ごとの合計情報や複数の明細行などを含んだデジタルインボイスを一つのCSVファイルで記述するため癖の強い表現となっていますが、慣れていただくと直感的で理解しやすいと思います。例えば、最小構成のデジタルインボイスの例では、CSVXSLT変換したHTML、そしてデジタルインボイスのXMLです。

使用量データ

継続購入契約している商品/サービス(定期購読している新聞や雑誌、電気、ガス、電話、ネットなど)の使用量が何について記録しているかを記載するデータ項目が ibt-018 Invoiced object (請求するオブジェクトの識別子)である。
請求するオブジェクトが何かは、ibt-018-1 The identification scheme identifier of the Invoiced object identifierで記載する。
欧州規格では、取引相手と特定の取り決めがないとき、識別子にどのスキーマが使用されているかが明確でない場合は、UN/EDIFACTの1153 Reference code qualifierのコードリストから選択される条件付きスキーマIDを使用する必要があるとされている。
例えば、AWVは、Phone number(電話番号) A sequence of digits used to call from one telephone line to another in a public telephone network.なので、ibt-018には、電話番号が記載され、その使用量は明細行に記載される。

送金についての情報


ibt-083 Remittance information 送金情報は、支払と請求書とを紐づけるために使用されるテキスト。入金者の特定やどの案件についての入金か識別するために利用される。

AP Cash Application


EN 16931-1で規定しているユースケース1について日本での組織や役割を考慮してBPMN図を作成してみました。会計ソフトや関連サービスの位置付けや各種補助簿との関連を検討されてはいかがでしょうか。
請求内容に疑義があるときには、次のような流れでしょうか。どこまでデジタル対応するかも重要な判断です。EN 16931-1では、P10インボイスの訂正でこのようなケースを対象として規定されていますが、Open Peppol BIS Billing 3.0ではサポートされていません。