Peppol Global network data scanner(Network Data Surveillance)概要メモ

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1. 背景(なぜ “Global scanner” が必要か)

Peppolネットワークでは、SML/SMP/Peppol Directory(PD)に登録されているネットワークデータの品質が十分でなく、文書(請求書等)の送達に影響が出る、という課題が共有されている。

典型例として、参加者識別子(Peppol Participant Identifier)の国別PASRルール違反(ID typeの選択ミス)、IDフォーマット不備、schemeとID本体の誤組合せ、deprecatedなドキュメントタイプの公開、証明書関連の問題、PDに“すでにSMPから削除されたはずの”登録が残存する、といった問題が挙げられる。

また、インボイス本文にはSchematron等の検証がある一方で、ネットワークデータ(SML/SMP/PD)公開そのものには同等の“封じ込め(containment)”が弱く、後追いで検出・是正を回す仕組みが必要、という整理である。

2. “Global network data scanner” とは何か

2.1 目的

  • PAごとにバラバラに行われているスキャンを置き換え、OpenPeppol Operating Office(OP/OO)側の中央クローラ(crawler)でネットワークデータを監視する。

  • 非準拠(non-compliance)を検出し、関係者へ“非準拠レコード(record)”として配布する。

2.2 スコープ(何をスキャンするか)

  • SML

  • 各SMP

  • Peppol Directory(PD)

2.3 ルールの考え方(global / local)

スキャナは “rules library(ルールライブラリ)” を持ち、ルールを次の2層で管理する。

  • グローバル共通ルール(OP/OOが定義)

  • 国別(PA別)ルール(各PAが定義)

ルールは追加・更新・削除できる前提で、MVPから段階的に拡張する。

3. PASR(Peppol Authority Specific Requirements)とは

PASR は Peppol Authority Specific Requirements の略で、Peppol Authority(PA)が「自国(自管轄)の参加者・サービス提供に対して追加で求める要件」を定義する枠組みである。
Peppol の共通仕様(SML/SMP、コードリスト、PKI 等)に “上乗せ” される 国別ルール と捉えると分かりやすい。

PASRは一般に、次のような論点を含む(国によって重点は異なる)。

  • 参加者識別子(Participant Identifier)に関する要件

    • どの識別子スキーム(scheme / ICD 値)を使うべきか(ID type の選択)

    • 桁数・形式・チェック等(format)

    • scheme と ID 本体(コード)の組合せ整合

  • セキュリティやKYC(本人確認)に関する要件(運用要件を含む)

  • 国別の相互運用仕様、運用手順、SLA等(PAが要求する運用)

3.1 なぜ “Network Data Surveillance” 文脈で PASR が重要か

Network Data Surveillance が対象にしているのは「インボイス本文」ではなく、SML/SMP/PDに公開される ネットワークデータ である。
そこで頻出する問題が、参加者登録データがPASRに反しているケース(ID type 選択ミス、形式エラー、schemeとコードの誤組合せ等)であり、送達失敗・リトライ増・探索負荷増の原因になり得る。

4. チェック項目(例)

具体的なチェックは段階的に拡張される想定だが、文書で触れられている例として次がある。

  • ドキュメントタイプ/プロセス/トランスポートのコードリスト適合(deprecated/removed/不存在)

  • SMP証明書の期限・失効・解析エラー

  • テスト証明書の本番利用

  • 参加者識別子(scheme/形式)に関する国別PASRチェック

  • PDとSMPの同期不整合(PDに幽霊レコードが残る等)

5. 非準拠レコード(record)の配布(誰に何が届くか)

非準拠が検出されると record が生成され、少なくとも以下の役割へ配布される整理。

  • affected PA(情報目的):当該参加者(または当該セグメント)を管轄するPA

  • affecting PA(アクション目的):問題の原因となったSMP SPをサイン(監督)しているPA

  • affecting PA が、当該SPへ連絡し、是正のフォローアップを担う

レコードに含める情報は今後精緻化されるが、叩き台として
SMP-seatID、SMP-url、SMP owner名、participant ID、schemeID、participant名、rule(エラー種別コード)
が想定されている。

6. 期待される効果(PA / SP観点の要約)

  • Defragmentation(分断解消:国別バラバラのスキャナの集約)

  • Consistency(一貫性:共通ルールの多重定義回避)

  • Cost-effectiveness(コスト効率)

  • Visibility(可視性:全体俯瞰/ドリルダウン)

  • Distribution(配布の効率化)

  • Roles clarity(affected / affecting の役割明確化)

7. 日本(JP)への影響(示唆)

この取り組みは「日本だけを対象」にしたものではなく、ネットワーク全体のデータ品質問題に対する枠組みとして提案されている。

ただし、日本の参加者・日本のSP(SMP SP含む)がネットワーク上に存在する以上、次の実務影響は起こりうる。

  • (1)SMP登録データ品質が“定期的に外部から検出される”前提になる
    → participant identifier(scheme/形式)、deprecatedなドキュメントタイプ、証明書等の不備がレコード化され得る。

  • (2)是正要求のフローが整理される(affecting PA の責務が明確化)
    → 日本が “affecting PA” となるケースでは、日本側が当該SPへの是正を主導する流れが想定される。

  • (3)非準拠レコードを受け取る前提で運用設計が必要
    → 一次切り分け、SPへの連絡、是正確認、再スキャンでクローズ、再発防止(PASR運用含む)。

8. 日本側(PA / SP)で先にやっておくと良いこと(実務メモ)

  • SMP登録データの自己点検(participant identifier:scheme/形式、ドキュメントタイプ/プロセス/トランスポート、証明書)

  • PD連携(削除・更新の同期)で“幽霊レコード”が残らない運用確認

  • “非準拠レコードを受け取る前提”での運用手順(一次切り分け→連絡→是正→クローズ)を整備

  • 国別PASR(participant identifierの要件等)を機械可読に整理し、将来のルールライブラリ連携に備える

9. 参考(会議ページ)


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