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SMK を使った相互接続テストと 2026 移行テストの進め方(AP 視点)
2026-01-25
本記事は、Peppol のテスト用 SML である SMK(SML Acceptance / Test)を使って、
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相互接続テスト(AP↔AP:DNS→SMP→AS4 の動的ディスカバリ経由で疎通)
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2026 年の移行テスト(CNAME 依存の廃止、U-NAPTR 参照、SMP lookup の https 化)
を、AP 事業者の実務手順として整理したものです。主に日本(Japan PA)での手続きを想定していますが、手順の構造は他国でも概ね同じです。 ([デジタル庁][1])
1. 用語整理(最小限)
- SMK
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SML(Service Metadata Locator)の テスト環境。AP はここ(DNS)を起点に SMP を発見し、受信者の Endpoint 情報に到達します。 ([Peppol Documentation][2])
- SMP
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受信者の ServiceGroup / ServiceMetadata(DocType、Process、Endpoint、証明書など)を公開するサーバ。 ([Peppol Documentation][3])
- AP
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AS4 によりメッセージ送受信を行う Access Point。
- PA
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Peppol Authority。国・地域ごとに、認定(Accreditation)や運用ルールを管理します(日本はデジタル庁が Japan PA)。 ([デジタル庁][1])
2. この記事の前提:対象は「相互接続」と「移行」
相互接続テストでは、相手 AP が SMK(DNS)→ SMP → あなたの AS4 endpoint を動的に引いて送れること/あなたも同様に相手へ送れること、を確認します。
2026 移行テストでは、特に以下を “仕様どおりにできているか” を確認します。
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CNAME ではなく U-NAPTR で SMP を発見する(CNAME 依存が残っていない)
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SMP lookup が段階的に http→https へ移行する期間を正しく扱える
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(運用上)移行期の落とし穴(過早な 80/tcp 閉塞など)を踏まえた構成になっている
移行のマイルストーン(T1/T2/T3)と要件は、公式の移行手順書で明確化されています。 ([Peppol Documentation][4])
3. AP からの申請・手続き(PA との関係を含む)
3.1 いちばん大事:証明書(Test PKI)が “入口”
SMK を使った相互接続/移行テストを現実に回すには、通常 Test PKI(AP Test 証明書) が必要です(Testbed へのログイン、テスト環境での AP 運用などに使うため)。 ([OpenPeppol][5])
日本の Guidance Note では、Test PKI 証明書を申請する前に Japan PA へ連絡して承認を得ることが明記されています(=PA が関与するポイント)。 ([デジタル庁][1])
また、同 Guidance Note では OpenPeppol メンバーでないと手続きを開始できない旨も明記されています。 ([デジタル庁][1])
3.2 日本(Japan PA)での基本フロー(要点)
AP 観点では、ざっくり次の順番で考えると迷いにくいです。
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OpenPeppol メンバーシップ(前提) ([デジタル庁][1])
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Japan PA に連絡し、Test PKI 申請の事前承認を得る ([デジタル庁][1])
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OpenPeppol の Service Desk(Jira)から Test PKI(AP Test)を申請
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SMK(acc 環境)に向けた相互接続テスト/移行テストを実施
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(認定も目的なら)テスト結果を用いて PA 面談等へ進む(日本ではテスト合格後に Japan PA interview が要件) ([デジタル庁][1])
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Note
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本記事は「相互接続/移行テスト」中心のため、認定(Accreditation)全体の詳細は割愛しますが、日本は「テスト合格→Japan PA interview→Agreement→Production 証明書」の流れが整理されています。 ([デジタル庁][1]) |
4. テスト環境の利用方法(相互接続テスト編)
ここからは「SMK を使って AP↔AP の相互接続をテストする」手順です。
前提として、SML のテスト向けドメイン(SMK 側)を指す必要があります。Testbed/Onboarding ガイドでも、SML 設定に acc 側を使うことが言及されています。 ([OpenPeppol][5])
4.1 構成パターン(SMP を自社で持つか/持たないか)
相互接続テストは必ず SMP が絡みます。AP が SMP を持たない場合は “依頼先(SMP 運用者)” が増えるだけで、やることの本質は同じです。
- パターン A(AP のみ運用)
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SMP は外部サービスを利用
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SMP 側に「SMK publish 用の Participant 作成」「サービスメタデータ登録」を依頼
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- パターン B(AP + SMP を運用)
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自社で SMP を運用し、SMK に publish する
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SML/SMP 仕様に沿った運用(管理インタフェース、証明書、更新手順)まで自社責任
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SML/SMP の仕様書(および関連資料)は eDelivery documentation から辿れます。 ([OpenPeppol][6])
4.2 相互接続テストの標準手順(実務)
以下は “あなたの AP を受信者として公開し、相手 AP から送ってもらう” 例です(逆方向も同様)。
手順 1:テスト用 Participant ID を決める
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scheme(例:
iso6523-actorid-upis)と value を決める -
テスト用と本番用を混同しない(運用上の事故防止)
手順 2:SMP に ServiceGroup / ServiceMetadata を登録
少なくとも次を SMP に設定します。
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Participant(ServiceGroup)
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DocType / Process
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Endpoint(あなたの AS4 受信 URL)
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証明書(SMP が返す endpoint 証明書情報など)
SMP のデータモデルと公開インタフェースは SMP 仕様に従います。 ([Peppol Documentation][3])
手順 3:SMK(SML)へ publish する
SMP 運用者が、SML の管理インタフェース経由で SMK へ登録します(SML 仕様で discovery/management の考え方が定義されています)。 ([Peppol Documentation][2])
手順 4:DNS(U-NAPTR)で SMP が引けることを確認
Linux なら、概ね次の形になります(<hash>.<scheme>.<zone> の <hash> は参加者 ID から導出)。
# 例:NAPTR を引く(実際の FQDN は参加者IDから生成)
## dig -t naptr +short <participant-hash>.iso6523-actorid-upis.acc.edelivery.tech.ec.europa.eu
この段階で「NAPTR の戻りから SMP URL(base)に到達できる」ことが確認できれば、動的ディスカバリの入口が成立しています。移行後は “NAPTR lookup が前提” になるため、相互接続テストがそのまま移行テストの一部になります。 ([Peppol Documentation][4])
手順 5:相手 AP から送信 → あなたの AP で受信確認
相手 AP は次の流れであなたの endpoint を発見して送ってきます。
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SMK(DNS)で NAPTR → SMP URL
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SMP で service metadata → endpoint
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endpoint に AS4 送信
受信後は、AS4 レベルの ACK/エラー、必要なら MLS 等の運用要件も含めて確認します(ここは相互接続の本丸)。
5. テスト環境の利用方法(2026 移行テスト編)
2026 移行(CNAME→NAPTR、SMP lookup の https 化)については、公式の移行手順書に T1/T2/T3 の節目が定義されています。 ([Peppol Documentation][4])
5.1 マイルストーン(テスト観点に直結する部分)
移行手順書の定義(例示):
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T1 = 2025-05-01
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T2 = 2025-11-01
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T3 = 2026-02-01
(※正確な日付・条件は必ず原典で確認してください) ([Peppol Documentation][4])
5.2 AP 側の必須テスト項目(移行要件)
(A) “CNAME に頼らない” ことの証明
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T2 以降、SMP lookup は U-NAPTR ベースである必要があり、CNAME 参照は禁⽌(=実装・設定・依存ライブラリに CNAME 前提が残っていないこと)。 ([Peppol Documentation][4])
テスト方法(実務):
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AP のログに「DNS で NAPTR を問い合わせた痕跡」が残るか
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監視側で DNS クエリを観測し、NAPTR クエリのみになっているか
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CNAME を切った環境でも discovery が成立するか
(B) SMP lookup の http→https を段階的に扱える
移行文書では、SMP URL の取り扱いが段階的に変わります(期間中は並走もあり得ます)。 ([Peppol Documentation][4])
テスト方法(実務):
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SMK 上の登録(または相手の SMP)を http / https で切り替え、AP が正しく追随するか
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https のみになった後も、失敗時のエラーハンドリングが適切か(リトライ、フォールバック方針など)
© 移行期の “80/tcp を早く閉じる” 事故を避ける
移行手順書では、移行後もしばらく http が必要になる可能性(例:周辺の通信要件)に触れており、運用設計がテスト項目になります。 ([Peppol Documentation][4])
テスト方法(実務):
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ファイアウォールで 80/tcp を閉じた場合に、証明書検証や関連通信で副作用が出ないか
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段階的閉塞(計画・監視・例外)をどうするかを決め、手順化する
6. 仕上げ:証跡(ログ)と “相互接続+移行” 統合チェックリスト
6.1 最低限残すと強いログ
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どの SML ドメインを参照したか(acc か prod か)
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DNS クエリ(NAPTR を引いていること)
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NAPTR 応答から導いた SMP base URL
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SMP へのアクセス結果(HTTP ステータス、TLS、レスポンスの要点)
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取得した endpoint と、実際に送った AS4 宛先
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AS4 の結果(ACK、エラー、再送)
6.2 統合チェックリスト(そのまま試験項目にできる)
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❏ SMK(
acc.edelivery.tech.ec.europa.eu)を参照している(相互接続テスト時) ([OpenPeppol][5]) -
❏ DNS は NAPTR を引いて SMP を発見している(CNAME 依存なし) ([Peppol Documentation][4])
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❏ SMP URL が http/https 切替されても、期間要件どおりに discovery できる ([Peppol Documentation][4])
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❏ 相手 AP が SMK→SMP→endpoint であなたの AP へ送れる(受信確認)
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❏ あなたも同様に相手へ送れる(送信確認)
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❏ 移行期のネットワーク運用(http 閉塞など)で副作用が出ない構成になっている ([Peppol Documentation][4])
7. 参考資料
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[1]: Japan PA Guidance Note(Test PKI 申請前の PA 承認、面談など)[デジタル庁]

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[2]: Peppol Service Metadata Locator (SML) 1.3.0(discovery/management の仕様)[Peppol Documentation]

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[3]: Peppol Service Metadata Publishing (SMP) 1.4.0(SMP の仕様)[Peppol Documentation]

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[4]:Peppol CNAME to NAPTR Migration Process(移行要件とマイルストーン)[Peppol Documentation]
https://docs.peppol.eu/edelivery/changelog/2025-04/Peppol%20CNAME%20to%20NAPTR%20Migration%20Process%20v1.0.0%202025-04-17.pdf?utm_source=chatgpt.com["Peppol CNAME to NAPTR Migration Process"]

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[5]: OpenPeppol Testbed and Onboarding guide(テストベッド利用の前提)[OpenPeppol]

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[6]: eDelivery documentation(関連仕様・一覧)[OpenPeppol]



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