Views: 25
JP PINTの文書名コードには380 商業請求書 (Commercial invoice)しかありませんが?
JP PINT 1.0.3で規定しているコード表には380以外も一覧表示されていますが、日本固有のスキーマトロンルールで380以外のインボイスをエラーとしており使えません。
UNTDID 1001 (United Nations Trade Data Interchange Directory) は、UN/EDIFACT (United Nations Electronic Data Interchange for Administration, Commerce, and Transport) 標準の一部として定義される文書名コード(Document Name Code)です。このコードは、貿易や商業取引における電子データ交換(EDI)に使用される標準化された文書タイプを識別します。

1. UNTDID 1001 文書名コード
1.1. 解説
UNTDID 1001 は、国際貿易や業務に関連する電子取引で使われる各種文書(請求書、出荷通知、注文書など)を特定するための3桁または4桁のコードです。このコードは、取引当事者が送受信する文書の内容を正確に識別するために用いられ、標準的な形式により誤解を防ぎ、効率的な取引を実現します。
例えば、1001に含まれるコードとしては以下のようなものがあります:
– 380: 商業請求書 (Commercial invoice)
– 381: クレジットノート (Credit note)
– 220: 注文書 (Order)
– 138: 貿易契約書 (Trade contract)
– 261: 見積書 (Quotation)
1.2. 使用例
使用例 1: 請求書の送信
企業が取引先に請求書を送る場合、文書のタイプを明確に指定するためにUNTDID 1001 コード「380」を使用します。EDIメッセージの中で、このコードは「この文書は商業請求書である」ことを示します。
UNTDID 1001: 380 (Commercial Invoice)
使用例 2: クレジットノートの送信
取引先に対して過剰な請求に対する訂正を行う場合、企業はクレジットノートを発行します。この文書は「381」コードで識別されます。
UNTDID 1001: 381 (Credit Note)
使用例 3: 注文書の送信
企業が供給者に注文を出す場合、注文書がEDIを通じて送信されます。この際、「220」コードが使用され、送信される文書が注文書であることを示します。
UNTDID 1001: 220 (Order)
1.3. 利点
UNTDID 1001の使用は、以下の利点があります:
– 取引効率化: 各種取引文書を標準化されたコードで識別することで、電子データ交換を効率的に行うことが可能です。
– 誤解の防止: 文書タイプが標準化されているため、受信者側での誤解や不一致を防止できます。
– 国際対応: グローバルな商取引においても、言語や国に依存せずに標準化された文書識別が可能です。
このように、UNTDID 1001は、商業・貿易取引において標準化された方法で文書タイプを指定するための重要な要素です。
2. JP PINTで規定されている文書名コード
1001 Document name code の一部が
Document name code (Subset: Invoice type code)で採用されています。
JP PINTでは、インボイス関連が定義されていますが、1.0.3の日本固有ルールチェックで380以外のインボイスをエラーとするスキーマトロンルールが追加されていますので、一覧に定義されていても使えない状況です。
なお、諸外国ではクレジットノートも使用されていますので下の表に示しています。
2.1. インボイス
71 | Request for payment 支払請求書 |
Document/message issued by a creditor to a debtor to request payment of one or more invoices past due. 支払期日を過ぎた1つまたは複数の請求書の支払いを要求するために、債権者が債務者に対して発行する文書/メッセージ。 |
---|---|---|
80 |
Debit note related to goods or services |
Debit information related to a transaction for goods or services to the relevant party. |
82 |
Metered services invoice |
Document/message claiming payment for the supply of metered services (e.g., gas, electricity, etc.) supplied to a fixed meter whose consumption is measured over a period of time. |
84 |
Debit note related to financial adjustments |
Document/message for providing debit information related to financial adjustments to the relevant party. |
102 |
Tax notification |
Used to specify that the message is a tax notification. |
218 |
Final payment request based on completion of work |
The final payment request of a series of payment requests submitted upon completion of all the work. |
219 |
Payment request for completed units |
A request for payment for completed units. |
331 |
Commercial invoice which includes a packing list |
Commercial transaction (invoice) will include a packing list. |
380 |
Commercial invoice |
(1334) Document/message claiming payment for goods or services supplied under conditions agreed between seller and buyer. |
382 |
注:文書名が欠落 |
(1111) Document/message in which a seller specifies the amount of commission, the percentage of the invoice amount, or some other basis for the calculation of the commission to which a sales agent is entitled. |
382 |
Commission note |
(1111) Document/message in which a seller specifies the amount of commission, the percentage of the invoice amount, or some other basis for the calculation of the commission to which a sales agent is entitled. |
383 |
Debit note |
Document/message for providing debit information to the relevant party. |
386 |
Prepayment invoice |
An invoice to pay amounts for goods and services in advance; these amounts will be subtracted from the final invoice. |
388 |
Tax invoice |
An invoice for tax purposes. |
393 |
Factored invoice |
Invoice assigned to a third party for collection. |
395 |
Consignment invoice |
Commercial invoice that covers a transaction other than one involving a sale. |
480 |
Invoice out of scope of tax |
An invoice issued by a party who is out of the scope of tax regulations and shall not collect tax on the invoice. The invoice should not contain tax details or information about the party tax registrations. |
553 |
Forwarder’s invoice discrepancy report |
Document/message reporting invoice discrepancies indentified by the forwarder. |
575 |
Insurer’s invoice |
Document/message issued by an insurer specifying the cost of an insurance which has been effected and claiming payment therefore. |
623 |
Forwarder’s invoice |
Invoice issued by a freight forwarder specifying services rendered and costs incurred and claiming payment therefore. |
780 |
Freight invoice |
Document/message issued by a transport operation specifying freight costs and charges incurred for a transport operation and stating conditions of payment. |
817 |
Claim notification |
Document notifying a claim. |
870 |
Consular invoice |
Document/message to be prepared by an exporter in his country and presented to a diplomatic representation of the importing country for endorsement and subsequently to be presented by the importer in connection with the import of the goods described therein. |
875 |
Partial construction invoice |
Partial invoice in the context of a specific construction project. |
876 |
Partial final construction invoice |
Invoice concluding all previous partial construction invoices of a completed partial rendered service in the context of a specific construction project. |
877 |
Final construction invoice |
Invoice concluding all previous partial invoices and partial final construction invoices in the context of a specific construction project. |
2.2. クレジットノート
81 | Credit note related to goods or services 商品またはサービスに関連するクレジットノート |
Document message used to provide credit information related to a transaction for goods or services to the relevant party. 商品またはサービスの取引に関連する信用情報を関連当事者に提供するために使用される文書メッセージ。 |
---|---|---|
83 |
Credit note related to financial adjustments |
Document message for providing credit information related to financial adjustments to the relevant party, e.g., bonuses. |
381 |
Credit note |
(1113) Document/message for providing credit information to the relevant party. |
396 |
Factored credit note |
Credit note related to assigned invoice(s). |
532 |
Forwarder’s credit note |
Document/message for providing credit information to the relevant party.+ |
3. Factored Invoice および Factored Credit Note の使用例
Factored Invoice と Factored Credit Note は、企業が売掛金を早期現金化するためにファクタリング会社に請求書を譲渡する際に使用される文書です。Peppol ネットワークを通じてこれらのファクタリング済みインボイスを発行する際には、通常のインボイスとの違いや廃止メッセージの必要性について理解することが重要です。
3.1. ファクタリングの基本的な流れ
-
会社A(売り手) は、商品やサービスを提供し、 会社B(買い手) に対して通常のインボイスを発行します。このインボイスは Peppol ネットワークを介して送信されます。
-
会社Aは資金繰りを改善するために、この請求書を ファクタリング会社C に譲渡します。これにより、ファクタリング会社Cがインボイスの債権を取得し、会社Bから回収することになります。
3.2. Factored Invoice(ファクタリング済みインボイス)の発行
-
ファクタリング会社Cは、会社Bに対して Factored Invoice を Peppol を通じて発行します。このインボイスは、もともと会社Aから会社Bに発行されたものと同一ですが、支払いの受取人がファクタリング会社Cになっている点が異なります。
-
この際、会社Aが発行した通常のインボイスを廃止する必要はありません。ファクタリングはインボイス自体を無効化するのではなく、債権の譲渡を意味するため、廃止メッセージは不要です。ファクタリングに基づいて、債権者の変更のみが反映される形です。
3.3. Factored Credit Note(ファクタリング済みクレジットノート)の発行
-
もし会社Bが返品や割引を求めた場合、ファクタリング会社Cは Factored Credit Note を Peppol を通じて発行します。このクレジットノートは、ファクタリング済みインボイスの金額を修正するものであり、支払い額の調整が行われます。
3.4. 通常のインボイスの廃止メッセージの必要性
ファクタリングプロセスにおいて、通常のインボイスが完全に無効になるわけではありません。そのため、通常は 廃止メッセージ(Cancellation Message) を発行する必要はありませんが、以下のようなケースでは廃止メッセージが必要となります:
-
取引自体がキャンセルされた場合:会社Bとの取引が取り消され、インボイスの支払いが不要となった場合、Peppolを通じてインボイスの廃止メッセージを発行する必要があります。
-
インボイスの誤発行:誤って間違った金額や条件でインボイスが発行された場合、通常のインボイスを無効化するために廃止メッセージが発行される必要があります。この場合、ファクタリング済みインボイスについても適切な修正が行われます。
3.5. Peppol でのファクタリング対応コードの必要性
ファクタリング取引が増える中、Peppolメッセージでファクタリングに対応するためのコードが標準化されることが重要です。具体的には、以下のメッセージのためのコードが求められます:
-
Factored Invoice の識別コード:ファクタリング済みの請求書であることを示すコードがPeppolメッセージに含まれる必要があります。これにより、買い手(会社B)は、支払い先がファクタリング会社Cであることを明確に認識できます。
-
Factored Credit Note の識別コード:ファクタリング済みのクレジットノートであることを示すコードが必要です。これにより、ファクタリング会社が債権の修正を適切に処理できるようになります。
3.6. メッセージ管理の必要性
ファクタリング取引の一環として、通常のインボイスを廃止せずに、新たに Factored Invoice として譲渡を反映したメッセージを発行することが適切です。また、返品や修正が発生した際には Factored Credit Note が利用されます。廃止メッセージは、取引のキャンセルや誤発行時にのみ必要となります。
3.7. まとめ
-
通常のインボイスを廃止する必要はない:ファクタリングではインボイスそのものが無効になるわけではなく、債権者がファクタリング会社に譲渡されるため、通常のインボイスを廃止する必要はありません。
-
Factored Invoice と Factored Credit Note の標準化:Peppolメッセージ内でファクタリング済みの請求書やクレジットノートを識別するコードの標準化が必要です。
-
廃止メッセージが必要な場合:取引自体がキャンセルされたり、誤ってインボイスが発行された場合には、廃止メッセージが必要です。
このように、ファクタリング取引ではPeppolネットワークを活用して効率的にインボイスやクレジットノートを処理しつつ、取引のキャンセル時や誤発行時には適切な廃止メッセージを使用することが求められます。
4. コード 875, 876, 877 の使用ケースと事例解説
これらのコードは、建設プロジェクトにおける請求書の異なる段階を示しています。特に、複数の段階での工事や役務提供に関連する部分的な支払いが行われるプロジェクトにおいて、請求書の進捗や完了を適切に管理するために使用されます。以下は、それぞれのコードに関連する事例の解説です。
4.1. 875: Partial Construction Invoice(部分工事インボイス)
-
特定の建設プロジェクトにおいて、全体の工事が完了する前に、進捗に応じた部分的な作業が完了した段階で発行されるインボイスです。この請求書は、工事や役務の一部が完了したタイミングで発行され、最終的な工事が終わる前に支払われることが一般的です。
-
建設会社A が、オフィスビルの建設プロジェクトを進行している。プロジェクト全体は12か月に及ぶが、最初の4か月で基礎工事が完了した。ここで、進捗に基づいて Partial Construction Invoice(部分工事インボイス) が発行され、基礎工事分の支払いを請求します。この時点ではまだプロジェクト全体が完了していないため、全額の請求は行われません。
4.2. 876: Partial Final Construction Invoice(部分最終工事インボイス)
-
特定の部分的な役務の提供が完了し、それに関連する全ての 部分的インボイス(Partial Construction Invoices) が発行されている場合に、この部分を締めくくるために発行される請求書です。これは、特定の工事区分が最終的に完了したことを示し、その区分に関連する最後の請求が行われることを意味します。
-
建設会社A が進行しているオフィスビルのプロジェクトでは、構造部分の工事が全て完了しました。これまでに、基礎工事や上部構造の工事に対する 部分工事インボイス(Partial Construction Invoices) が何度か発行されていました。構造部分全体が完了した時点で、Partial Final Construction Invoice(部分最終工事インボイス) が発行され、これまでに発行された全ての部分インボイスをまとめて締めくくる形となります。
4.3. 877: Final Construction Invoice(最終工事インボイス)
-
プロジェクト全体が完了し、すべての部分的インボイスおよび部分最終工事インボイスが発行された後に、プロジェクト全体を締めくくる最終的な請求書として発行されます。この請求書は、プロジェクト全体の最終的な清算を行うために使用されます。
-
オフィスビル建設プロジェクトが12か月間で無事に完了しました。すでに構造部分や内装、設備工事に対する 部分工事インボイス と 部分最終工事インボイス が発行されています。プロジェクト全体の最終確認が完了し、全ての作業が引き渡された時点で、最終的な清算を行うための Final Construction Invoice(最終工事インボイス) が発行されます。この請求書は、プロジェクト全体の最後の残額を清算するためのものです。
4.4. まとめ
-
875: Partial Construction Invoice(部分工事インボイス) は、工事の進捗に応じて、部分的に完了した作業に対する支払いを請求するために発行されます。
-
876: Partial Final Construction Invoice(部分最終工事インボイス) は、特定の工事部分が完了し、それに関連する全ての部分的インボイスをまとめて締めくくるために発行されます。
-
877: Final Construction Invoice(最終工事インボイス) は、プロジェクト全体が完了した後に、全ての部分的請求をまとめてプロジェクト全体を締めくくるために発行されます。
これらの請求書は、特に大規模な建設プロジェクトで進捗に基づいた支払い管理を効率的に行うために重要な役割を果たします。
5. コード 875, 876, 877 の使用ケースと事例解説(ソフトウェアシステム開発の補足)
これらのコードは、建設プロジェクトだけでなく、ソフトウェアシステム開発においても、プロジェクトの進捗に応じた部分的な請求や最終的な請求を管理するために同様に利用することができます。ソフトウェア開発プロジェクトでは、システムが複数のフェーズやモジュールに分かれており、それぞれの段階で請求が発生することがあります。
5.1. 875: Partial Construction Invoice(部分工事インボイス)
-
ソフトウェア会社A は、クライアントのために大規模なカスタムERPシステムを開発しています。プロジェクト全体は12か月に及びますが、まずは データベースモジュール が4か月目に完了しました。この時点で、進捗に基づき、データベースモジュールの作業に対する Partial Construction Invoice(部分工事インボイス) が発行され、支払いが請求されます。システム全体はまだ完成していないため、他のモジュールについても今後請求が発生する予定です。
5.2. 876: Partial Final Construction Invoice(部分最終工事インボイス)
-
ERPシステムの開発が進み、次の段階では ユーザーインターフェース(UI)モジュール が完了しました。これまでにUIモジュールに関連して複数の 部分工事インボイス(Partial Construction Invoices) が発行されていましたが、最終的にUIモジュール全体が完成したため、この部分を締めくくるための Partial Final Construction Invoice(部分最終工事インボイス) が発行されます。これにより、UIモジュールに関するすべての部分的請求がまとめられ、クライアントに対して支払いが請求されます。
5.3. 877: Final Construction Invoice(最終工事インボイス)
-
12か月の開発期間を経て、ERPシステム全体が完成し、全機能がクライアントに引き渡されました。これまでにデータベース、UI、バックエンド処理などに関する 部分工事インボイス や 部分最終工事インボイス が発行されていましたが、プロジェクト全体を締めくくるため、全ての段階を統合して Final Construction Invoice(最終工事インボイス) が発行されます。これは、プロジェクト全体の最終清算を行うための請求書です。
5.4. ソフトウェア開発プロジェクトにおける補足
ソフトウェアシステム開発プロジェクトにおいても、これらの請求書コードは非常に有用です。特に大規模なプロジェクトやフェーズごとに完了と支払いが発生するプロジェクトにおいて、以下のようなメリットがあります:
-
進捗に応じた支払い管理:部分的に完了したモジュールやフェーズごとに支払いを行うことで、開発チームはキャッシュフローを改善し、クライアントは進捗状況を確認しながら支払いを管理できます。
-
透明性の向上:各段階での請求書が明確に区分されるため、どの部分が完了し、どれがまだ未完了なのかが明確になります。これは、クライアントと開発者の間でプロジェクトの透明性を高める助けとなります。
-
プロジェクトの柔軟な管理:部分的に作業が完了するごとに請求書を発行することで、開発プロジェクトの進捗を柔軟に管理し、必要に応じて予算やリソースの調整が可能となります。
5.5. まとめ
建設プロジェクトと同様に、ソフトウェアシステム開発においても、進捗に応じた段階的な請求が重要です。875(部分工事インボイス) はフェーズごとの請求に、876(部分最終工事インボイス) は特定のモジュールやフェーズの最終的な請求に、そして 877(最終工事インボイス) はプロジェクト全体の最終的な清算に使用されます。
ソフトウェア開発においても、これらのコードを使用することで、プロジェクトの管理がより効率的かつ透明になります。
6. PeppolにおけるPRECEDING INVOICE REFERENCEの指定方法
Peppolネットワークを通じて、連続する部分インボイスやクレジットノートを発行する場合、それに関連する前の請求書を正確に参照するために、cac:BillingReference 要素を使用します。これにより、元の請求書や先行するインボイスを特定し、正しい文書間の関連付けを行います。
6.1. UBLでの cac:BillingReference
UBLでは、cac:BillingReference を使用して、請求書やクレジットノートの関連文書を指定します。特に、連続する部分インボイスやクレジットノートが元のインボイスや他のインボイスに関連して発行される場合、この要素を使用して参照します。
以下は、cac:BillingReference を使用した構造です:
<cac:BillingReference>
<cac:InvoiceDocumentReference>
<cbc:ID>INV12345</cbc:ID> <!-- 参照する元のインボイス番号 -->
<cbc:IssueDate>2024-08-15</cbc:IssueDate> <!-- 参照するインボイスの発行日 -->
</cac:InvoiceDocumentReference>
</cac:BillingReference>
6.1.1. 要素の説明:
-
cbc:ID: 参照するインボイスの識別子(通常は請求書番号)。
-
cbc:IssueDate: 参照するインボイスの発行日。
-
cac:InvoiceDocumentReference: 元のインボイスに関する参照情報を保持。
6.2. 使用ケース
-
Partial Construction Invoice の場合
例えば、建設プロジェクトにおいて、Partial Construction Invoice(部分工事インボイス) を発行する場合、過去に発行された部分インボイスを特定するために PRECEDING INVOICE REFERENCE を指定します。
<cac:BillingReference>
<cac:InvoiceDocumentReference>
<cbc:ID>INV00123</cbc:ID>
<cbc:IssueDate>2024-07-01</cbc:IssueDate>
</cac:InvoiceDocumentReference>
</cac:BillingReference>
-
Factored Credit Note の場合
クレジットノートを発行する場合も、対象となる元のインボイスを cac:BillingReference で参照することができます。
<cac:BillingReference>
<cac:InvoiceDocumentReference>
<cbc:ID>INV54321</cbc:ID>
<cbc:IssueDate>2024-06-30</cbc:IssueDate>
</cac:InvoiceDocumentReference>
</cac:BillingReference>
これにより、どのインボイスに対して調整が行われているかを正確に指定できます。
Peppolでは、PRECEDING INVOICE REFERENCE を正しく指定することで、複数のインボイスやクレジットノート間の関連性を明確にし、取引先や会計システムが正確に処理を行えるようにします。特に、建設プロジェクトやソフトウェア開発など、進捗に応じて部分的なインボイスが発行される場合、この参照機能は非常に重要です。
Peppolにおける PRECEDING INVOICE REFERENCE の指定は、UBL形式の cac:BillingReference 要素を使って行われます。これにより、過去のインボイスや関連するインボイスを特定し、取引や調整の文脈を正確に伝えることができます。特に、複数の部分インボイスやクレジットノートが関与する場合には、この参照が非常に重要です。
当初のPEPPOL BIS Billing 3.0では欧州規格 EN 16931-1で規定している業務パターン12種類のうち P1 ~ P9 までしかサポートされておらず、
P10インボイスの訂正
P11部分的及び最終のインボイス
P12自己請求インボイス(仕入れ明細)
が対象外とされていましたが、P10,P12はオーストラリアや日本から要請され限定的な対応が提供されています。
EN 16931-1は、CENの加盟国の標準化組織から提供されています。私は、NEN(オランダ)から入手しました。
https://connect.nen.nl/Standard/Detail/3636023?compId=0&collectionId=0
日本語記事は、こちらから『
欧州規格EN 16931-1コアインボイスモデルのユースケース 12 + 1
』
コメントを残す