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2026年6月
2026年は、これまで進めてきた監査データサービス、デジタルインボイス、XBRL GL Next に関する検討を、より具体的な実装像として示す一年にしたいと考えています。
国際標準化の分野では、ISO/TC 295 Audit data services におけるセマンティックモデルの考え方をさらに深めるとともに、監査データ収集や業務データ交換を、特定の物理ファイル形式に依存しない形で整理する方向を引き続き追求しています。これまでの活動の中で、CSV、XML、JSON 及び XBRL-GL といった複数構文を個別に定義するだけでは、拡張性や保守性に限界があることが明確になってきました。そのため、意味モデルを先に定義し、その上で各構文への対応を結合定義として外出しする考え方を、より実践的に具体化していきます。
また、XBRL GL Next の方向性とも連動しながら、階層型 tidy data(xBRL-CSV)を基礎にした構造化CSVの活用をさらに推進したいと考えています。これにより、既存のアプリケーションが出力する CSV、XML、JSON などのインターフェースファイルを、個別アプリケーションを改修することなく、共通の意味基盤へ変換し、必要に応じて別の構文へ再構成する道筋が見えてきました。
2026年に特に力を入れたいテーマは、次の三つです。
1. 日本版コアインボイスの具体化
Open Peppol/JP PINT と国内既存EDIとの間を橋渡しするためには、個別XMLや個別CSVの総当たり変換ではなく、その中間に置く共通の意味基盤が必要です。私は、その有力な候補として「日本版コアインボイス(構造化CSV)」を提案しています。
この考え方では、請求書データを単なる交換用ファイルとして扱うのではなく、意味を保ったまま保存・変換・再利用できる基礎データとして位置づけます。これにより、Peppol、既存EDI、ERP取込、会計仕訳、消込、監査データまでを、一つの共通基盤から見通せるようにしたいと考えています。
2. 汎用データ交換器の実現可能性の提示
これまでの検討を通じて、変換仕様をプログラム本体に埋め込むのではなく、意味の対応関係と構文の対応関係を結合定義表として外に出して管理する方法が、有効であることを確認してきました。
この方法を採れば、仕様変更のたびに個別の変換プログラムを書き換えるのではなく、結合定義表を改訂することで対応しやすくなります。結合定義表は、人にも理解でき、しかもそのままプログラム処理の制御データとして利用できるため、標準化と実装の間を埋める実用的な方法になると考えています。
2026年は、この考え方を、デジタルインボイスだけでなく、監査データ、会計データ、長期保存データなどにも広げて示していきたいと思います。
3. Ledger Explorer と構造化CSVの実践的活用
会計データの分野では、Ledger Explorer を通じて、構造化CSVを単なるCSVの拡張ではなく、正規化された複数表の論理構造を保ったまま1枚で表現する新しい形式の正規化表として扱う考え方を示してきました。
Ledger Explorer では、構造化CSVを原本として、そこから仕訳帳、総勘定元帳、試算表などを再計算できます。これは、会計ソフトの内部DBに依存しない形で、会計データを将来にわたって意味を失わず保存・再利用する一つの方向を示していると考えています。
2024年1月
昨年末、久しぶりに開催されたISO/TC 209 Audit data services (監査データサービス)の全体会議に、JISC日本代表委員としてオランダで参加しました。この会議では、生成AIと会計監査、ESG報告の監査などの新しいテーマが提起されました。ISO/PC 295 Audit data collection (監査データ収集)プロジェクトは2015年に始まり、現在9年目に入っています。2022年からはセマンティックモデルの勉強会を主宰し、2023年からはISO/AWI 21926 Semantic data model for audit data services の共同プロジェクトリーダーとして、監査データサービスのセマンティックモデルの世界標準策定に取り組んでいます。
このプロジェクトは当初、CSV、XML、JSON、XBRL-GLの4種類の物理ファイル形式を対象に監査データ収集の標準策定を行ってきました。しかし、他国からの参加者にIT専門家が少なかったため、PC 295では主にCSV形式のテーブルと項目定義の策定にとどまりました。2023年にはXMLとJSONのスキーマ定義が標準仕様に加わりましたが、セマンティックモデルを先に定義すべきだという提案は受け入れられず、拡張性や保守性の問題が残された状態です。
2022年からは、セマンティックモデルに関する勉強会を「Study Group 1」として実施し、ISO/AWI 21926のセマンティックモデルの標準化作業に着手しました。これらの活動を通じて、監査データサービスの効率化と透明性の向上に貢献していきたいと考えています。
また、XBRL JapanのPOCとして実施した「日本版コアインボイスゲートウェイ」や「仕訳情報検索専用ブラウザ」プロジェクトで、階層型Tidy data(xBRL-CSV)を基にした「汎用監査データ変換器」の実現可能性を確認しました。この取り組みは、既存のアプリケーションが提供するCSV、XML、JSONなどのインターフェースファイルを変換するために、対応付けの定義ファイルを使用します。これにより、標準形式への変換機能を既存アプリケーションに追加することなく、標準形式でのデータ変換を可能にします。このアプローチは、標準形式の利用障壁を低減し、長期保存データやESG報告に関連する生業系コンピュータやIoTからのデータの取り扱いを容易にします。これによりXBRLの利用範囲が広がり、監査データサービスの効率化と透明性の向上に大きく貢献することが期待されます。
2023年1月
昨年からISO/TC 295 Audit data services/SG 1 Semantic modelのConvenerを務めています。ISOでは、UMLで表記される会計監査の対象データのグラス関連図から、対象業務ごとに取り出した意味あるまとまりを論理階層モデルで定義し、それをCSV, XML, JAONその他のフォーマットで表記するといった3階層のフレームワークを規定したTechnical Specificationの策定を計画しています。その具体化のためにxBRLタクソノミが重要な役割を果たします。20年前に最先端技術だったXMLスキーマを中心として構築したXBRL-GLですが、今年はそれを再構築してxBRL-CSV及びDimewnsionを中心としたxBRL Granular Dataを開発し、会計のデジタル化に貢献したいと考えています。
2022年1月
今年はいよいよOpen Peppolの電子インボイスが実運用されます。Open Peppol自体も、欧州から始まり、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドと採用する地域が広がってくるとともに電子インボイスを国際化した仕様としてPeppol INTernational (PINT)を開発中で、日本が最初の適用国となります。2020年の夏にEIPAでXBRL Japanからの提言を報告した際にコメントしたようにOpen Peppolの電子インボイスを道具としてどのようなデジタル化を実現するかが問われます。いくつかの実証実験を通じて課題を明確にし、周回遅れのe-Japanを実現していただきたいと思います。
2021年1月
2000年問題から既に20年。2000年のe-Japanのころまでは、日本は世界のIT先進国でしたが、2008年のリーマンショックを超えて世界との格差が拡大してしまいました。2000年から世界標準として全世界で活用されているXBRLは、この20年間、財務報告の分野で着実に成長してきました。近年では、XBRLで会計の明細データを記録し会計監査や申告書類作成につなげる取り組みも見られます。2021年は、電子インボイスを中心に、これまでのデジタル化における負債を一掃して、これからのデジタル化につなげようという動きが活発になりそうです。XBRL Japan顧問として、ISO/TC 295 Audit data services日本代表委員として、活動を深めてゆきます。
2013年3月
2013年3月、長年お世話になった日立ソリューションズを卒業しました。2013年4月からは、この技術士事務所で皆様の情報システムや企業データの活用のお役に立ちたいと考えています。
日立のコンピュータの成長期にメーカーのシステムエンジニアとして、大型汎用機、クライアントサーバー、インターネット、そしてクラウドサービスといった変革期を実際に経験することができたことに感謝しています。1982年に入社したころは、日立では、コンピュータ及びその周辺機器の製造を始めとして、独自のオペレーティングシステムやデータベースソフトを開発し、高度経済成長後のIT時代を担ってきました。コンピュータは、大学時代にタイムシェアリングシステムで大型計算機を使って数値計算を行ったのが、最初の経験です。それ以降、JCL, Fortran, Assembler, Cobol, APL, Pascal, C, Prolog, Lisp, smalltalk, C++, Objective C, UNIX Shell, ES/Kernel, SQL, PL/SQL, SQL Forms, Java, JSP, Javascript, Perl, PHP, Python, と20以上のコンピュータ言語を使って仕事をしてきました。
製造業のシステムエンジニアとして、当時最先端のスーパーコンピュータを使った機械設計(CAD)や有限要素解析のための3次元モデル作成および数値ベクトル計算(CAE)のシステムを企業向けに構築することが最初の仕事でした。その後、海外留学の際には、人間の脳の働きをコンピュータで再現する、ニューラルネットワークの研究を行いました。帰国後は、人工知能(AI)を応用して製造ラインの作業日程計画を作成するシステムを構築しました。
製造業の業務システムは、工場のシステムや営業店のシステムなど、ほぼすべての業務システムの構築を経験し、販売計画と製造計画を統合した生販一貫システムの構築などを大型汎用機で構築しました。
海外活動は、1987年から翌年にかけて、ニュージャージー州のニューヨークシティとハドソン川をはさんで対岸にある私立のスティーブンス工科大学に社費留学し、コンピュータサイエンスの修士を取得したのが、初めての経験です。この時には、家族構成が妻、2歳の長男、0歳の次男で、週末に美術館やセントラルパークで過ごしたことが記憶に残っています。
20世紀の終わりの頃は、パッケージソフト開発のセンタ長として、中国大連や北京のソフト開発企業にパッケージソフトの開発をお願いするために毎年出かけていました。当時大騒ぎした2000年問題も今となっては懐かしいものです。
2001年から、会計情報をXMLで表現する国際標準規格XBRL(eXtensible Business Reporting Language)制定を国内外の会計士の先生方やコンピュータ技術者と連携して推進しました。この間の状況は、LinkedIn(https://www.linkedin.com/in/sambuichi/)に記載しています。この時期は、研究開発のセンタ長および国際標準化団体の理事として、XBRLのJIS化や先端システムの構築などを行いました。
職歴
三分一技術士事務所
所長 2013年4月〜
東京大学 大学院 情報学環
特任教授 2012年8月〜2016年3月
日立ソリューションズ
1982年4月〜2013年3月
国際標準化活動
ISO
ISO/AWI 21926 Semantic data model for audit data services Co-project leader (2023年〜)
ISO/TC 295 Audit data services Study Group 1 Convener (2022年〜)
ISO/TC 295 Audit data services 日本代表委員 (2019年〜) ISO/PC 295からISO/TC 295に登録変更
ISO/PC 295 Audit data collection 日本代表委員(2016年〜2019年)
ISO/TC 295 Audit data collection 日本代表委員(2020年〜2025年)
XBRL International
Board of director (2007年〜2008年11月)
Member of international steering comittee(2005年11月〜2008年11月)
Chair of GL working group(2004年〜2005年)
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