買掛金および売掛金の計上基準

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買掛金(Accounts Payable)および売掛金(Accounts Receivable)の計上基準には、さまざまな方法があります。企業がどの基準を採用するかは、業務手順や業界の慣行に依存します。

計上基準の種類

売り手の場合

計上基準 説明 売掛金の計上 利点 短所

請求書基準(Invoice-Based Accrual)
買掛金や売掛金が、請求書の発行時点で計上される基準です。

売主が買い手に商品やサービスを提供し、これに対して請求書を発行した時点で売掛金を計上します。

取引が明確な文書(請求書)に基づいて行われるため、記録が簡便で信頼性が高い。

商品の実際の受け取りや出荷のタイミングとズレが生じる場合があるため、実際の在庫状況やコスト計上のタイミングとずれる可能性があります。

出荷基準(Shipment-Based Accrual)
売主が商品の出荷を行った時点で、売掛金が計上される基準です。

買い手に商品が出荷されたタイミングで、売掛金が発生します。

商品の流れと売上・仕入れの計上タイミングが一致し、在庫管理と会計処理がスムーズになる。

請求書が後で発行されるため、売上や買掛金の金額を把握するのが遅れる可能性があります。

検収基準(Inspection/Receipt-Based Accrual)
買主が商品を受領し、検品を完了した時点で買掛金や売掛金を計上する基準です。

売主は買主から商品を受け取った確認(検収書)を得た時点で、売掛金を計上します。

実際の商品の受け取りに基づいて計上するため、物理的な取引と一致する記録を行いやすい。

検収に時間がかかると、会計処理も遅れる可能性があります。

発注基準(Order-Based Accrual)
発注時点で買掛金や売掛金を計上する基準です。

買い手が発注した時点で売上を計上します。

発注時点での管理ができ、将来の支払い予定などが把握しやすくなる。

実際の取引が完了するまで、売上・仕入れの計上と実物の流れが一致しないため、正確性に欠ける場合があります。

現金基準(Cash-Based Accrual)
支払いまたは入金が発生した時点で売掛金や買掛金を計上する基準です。

買い手から現金の支払いが行われた時点で売上を計上します。

取引のタイミングとキャッシュフローが完全に一致するため、キャッシュフローの管理が容易。

実際の売上や費用が発生した時点ではなく、支払い時点でしか記録されないため、売上・仕入れの把握が遅れる。

納品基準(Delivery-Based Accrual)
商品やサービスが実際に納品されたタイミングで買掛金や売掛金を計上する基準です。

商品が買い手に納品されたタイミングで売掛金を計上します。

実際の商品の受け渡し時点で計上するため、商品管理と一致します。

請求書の発行や検収が後回しになると、売掛金や買掛金の計上が遅れる可能性があります。

買い手の場合

計上基準 説明 買掛金の計上 利点 短所

請求書基準(Invoice-Based Accrual)
買掛金や売掛金が、請求書の発行時点で計上される基準です。

買主が売り手から請求書を受領した時点で、買掛金を計上します。

取引が明確な文書(請求書)に基づいて行われるため、記録が簡便で信頼性が高い。

商品の実際の受け取りや出荷のタイミングとズレが生じる場合があるため、実際の在庫状況やコスト計上のタイミングとずれる可能性があります。

出荷基準(Shipment-Based Accrual)
売主が商品の出荷を行った時点で、売掛金が計上される基準です。

商品の出荷が行われた時点で、買掛金を計上します。

商品の流れと売上・仕入れの計上タイミングが一致し、在庫管理と会計処理がスムーズになる。

請求書が後で発行されるため、売上や買掛金の金額を把握するのが遅れる可能性があります。

検収基準(Inspection/Receipt-Based Accrual)
買主が商品を受領し、検品を完了した時点で買掛金や売掛金を計上する基準です。

買主が商品を受領し、検品(納品物が問題ないか確認)を完了した時点で買掛金を計上します。

実際の商品の受け取りに基づいて計上するため、物理的な取引と一致する記録を行いやすい。

検収に時間がかかると、会計処理も遅れる可能性があります。

発注基準(Order-Based Accrual)
発注時点で買掛金や売掛金を計上する基準です。

発注した時点で買掛金を計上します。

発注時点での管理ができ、将来の支払い予定などが把握しやすくなる。

実際の取引が完了するまで、売上・仕入れの計上と実物の流れが一致しないため、正確性に欠ける場合があります。

現金基準(Cash-Based Accrual)
支払いまたは入金が発生した時点で売掛金や買掛金を計上する基準です。

買主が現金で支払いを行った時点で費用や仕入れを計上します。

取引のタイミングとキャッシュフローが完全に一致するため、キャッシュフローの管理が容易。

実際の売上や費用が発生した時点ではなく、支払い時点でしか記録されないため、売上・仕入れの把握が遅れる。

納品基準(Delivery-Based Accrual)
商品やサービスが実際に納品されたタイミングで買掛金や売掛金を計上する基準です。

商品が自社に納品された時点で、買掛金として記録されます。

実際の商品の受け渡し時点で計上するため、商品管理と一致します。

請求書の発行や検収が後回しになると、売掛金や買掛金の計上が遅れる可能性があります。

まとめ

企業の会計処理は業界の慣習や内部方針に大きく依存します。請求書基準、出荷基準、検収基準など、それぞれの基準にはメリット・デメリットがあり、正確な財務管理には適切な計上基準の選択が重要です。


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