三分一技術士事務所

ペポルのインボイスにおける支払いサービス提供者識別子

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1. はじめに

ペポルのインボイスにおいて、`支払いサービス提供者識別子`とはなにかを理解することは重要です。
この記事ではUBLでの定義を紹介し、使用方法および違いを明確にします。

IBG 17
PayeeFinancialAccount

国際送金のときには次のように指定します。
2.5. Payment means information
2.5.1. Credit transfer
Payment means code 30 as defined below shall be supported by all receivers of a PINT compliant invoice. This payment method acts as the common denominator for global trade.
If payment is made by credit transfer, the Payment account identifier (IBT-84) is mandatory.

Examples of codes for payment by credit transfer are:

Credit transfer

ZENGINのときには次のように指定します。

ZENGIN

それでは、銀行口座への振り込みの指定は、どうするのでしょうか。
ZENGINのときと同様でよいか、BISでは明確に記載されていません。

次の情報を含むインボイスのUBLにおける指定箇所について説明します：

  • 普通預金 1

  • 口座番号 3242394

  • 口座名義 ｶ)ﾏﾙﾏﾙｼﾖｳｼﾞ

  • 銀行番号 1234

  • 支店番号 567

この情報を適切に指定するためにUBLでは、以下のようにXML要素を構造化します：

<ubl:Invoice>
    <cac:PaymentMeans>
        <cac:PayeeFinancialAccount>
            <cbc:ID>3242394</cbc:ID> <!-- 口座番号 -->
            <cbc:Name>ｶ)ﾏﾙﾏﾙｼﾖｳｼﾞ</cbc:Name> <!-- 口座名義 -->
            <cbc:AccountTypeCode>1</cbc:AccountTypeCode> <!-- 普通預金　注：ペポルでは未対応 -->
            <cac:FinancialInstitutionBranch>
                <cbc:ID>567</cbc:ID> <!-- 支店番号 -->
                <cac:FinancialInstitution> <!-- 金融機関情報　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:ID>1234</cbc:ID> <!-- 銀行番号 　注：ペポルでは未対応 -->
                </cac:FinancialInstitution>
            </cac:FinancialInstitutionBranch>
        </cac:PayeeFinancialAccount>
    </cac:PaymentMeans>
</ubl:Invoice>

1.1. 要素の詳細説明

  • 口座番号 (cbc:ID): `cac:PayeeFinancialAccount`要素の中で、口座番号を指定します。

  • 普通預金 (cbc:AccountTypeCode): 口座の種類を示します。ここでは、普通預金を 1 として指定します。

  • 銀行番号 (cbc:ID): `cac:FinancialInstitution`要素の中で、銀行番号を指定します。

  • 支店番号 (cbc:ID): `cac:FinancialInstitutionBranch`要素の中で、支店番号を指定します。

1.2. 例

以下は、指定された情報に基づいたUBLのXML例です：

<Invoice>
    <cac:PaymentMeans>
        <cac:PayeeFinancialAccount>
            <cbc:ID>3242394</cbc:ID> <!-- 口座番号 -->
            <cbc:AccountTypeCode>1</cbc:AccountTypeCode> <!-- 普通預金　注：ペポルでは未対応 -->
            <cac:FinancialInstitutionBranch>
                <cbc:ID>567</cbc:ID> <!-- 支店番号 -->
                <cac:FinancialInstitution> <!-- 金融機関情報　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:ID>1234</cbc:ID> <!-- 銀行番号 　注：ペポルでは未対応 -->
                </cac:FinancialInstitution>
            </cac:FinancialInstitutionBranch>
        </cac:PayeeFinancialAccount>
    </cac:PaymentMeans>
</Invoice>

2. 支払いサービス提供者識別子

2.1. 説明

`支払いサービス提供者識別子`は、支払い口座の支払いサービス提供者（金融機関や決済サービスプロバイダーなど）の識別子です。
この要素は、支払い処理に関与する金融機関を特定するために使用されます。

2.2. 用途

  • 支払い口座を管理する金融機関を特定します。

  • インボイスにこの情報を含めることで、支払いを処理するために必要な金融機関の情報が明確になります。

2.3. 構文バインディング

/ Invoice / cac:PaymentMeans / cac:PayeeFinancialAccount / cac:FinancialInstitutionBranch / cbc:ID

2.4. 構造

  • Invoice: インボイスのルート要素。

  • cac:PaymentMeans: 支払い手段に関する情報を含む要素。

  • cac:PayeeFinancialAccount: 受取人の金融口座に関する情報を含む要素。

  • cac:FinancialInstitutionBranch: 受取人の金融口座の支払いサービス提供者（金融機関や決済サービスプロバイダーなど）の支店に関する情報を含む要素。

  • cbc:ID: 支払いサービス提供者識別子。受取人の金融口座の支払いサービス提供者の支店の識別子。

3. 受取金融口座

3.1. 説明

`受取金融口座`要素は、支払いを受け取る口座に関する詳細情報を保持する要素です。この要素は、支払いが実際にどの口座に入金されるかを特定するために使用されます。

3.2. 用途

  • 支払い口座を特定します。

  • インボイスにこの情報を含めることで、支払いを処理するために必要な支払い口座の情報が明確になります。

3.3. 構文バインディング

/ Invoice / cac:PaymentMeans / cac:PayeeFinancialAccount / cbc:ID

3.4. 構造

  • Invoice: インボイスのルート要素。

  • cac:PaymentMeans: 支払い手段に関する情報を含む要素。

  • cac:PayeeFinancialAccount: 受取人の金融口座に関する情報を含む要素。

  • cbc:ID: 支払い口座。

4. 主な違い

4.1. 識別子 vs 口座情報

  • `支払いサービス提供者識別子`は、支払いサービス提供者（金融機関）を識別し、どの機関が支払いを処理するかを示します。

  • `受取金融口座`は、実際の支払い受取口座の詳細を提供し、受取口座の特定の情報（例：口座番号、口座名義人など）を含みます。

4.2. 機能

  • `支払いサービス提供者識別子`は、支払いを処理する金融機関を特定し、支払いの適切な方向付けを行うために使用されます。

  • `受取金融口座`は、具体的な支払い受取口座の情報を提供し、支払いを確実に受け取るための詳細を提供します。

5. 銀行名と銀行番号の指定

5.1. 銀行名の指定

銀行名は、`cac:FinancialInstitutionBranch`要素の中にある`cac:FinancialInstitution`要素内の`cbc:Name`で指定します。

<ubl:Invoice>
    <cac:PaymentMeans>
        <cac:PayeeFinancialAccount>
            <cac:FinancialInstitutionBranch>
                <cac:FinancialInstitution> 　<!-- 金融機関情報　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:Name>銀行名</cbc:Name> 　<!-- 銀行名　注：ペポルでは未対応 -->
                </cac:FinancialInstitution>
            </cac:FinancialInstitutionBranch>
        </cac:PayeeFinancialAccount>
    </cac:PaymentMeans>
</ubl:Invoice>

5.2. 銀行番号の指定

銀行番号は、`cac:FinancialInstitutionBranch`要素内の`cbc:ID`で指定します。

<ubl:Invoice>
    <cac:PaymentMeans>
        <cac:PayeeFinancialAccount>
            <cbc:ID>12345678</cbc:ID>
            <cac:FinancialInstitutionBranch>
                <cbc:ID>銀行番号</cbc:ID> <!-- 支払いサービス提供者識別子（銀行番号） -->
                <cac:FinancialInstitution> 　<!-- 金融機関情報　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:Name>銀行名</cbc:Name> 　<!-- 銀行名　注：ペポルでは未対応 -->
                </cac:FinancialInstitution>
            </cac:FinancialInstitutionBranch>
        </cac:PayeeFinancialAccount>
    </cac:PaymentMeans>
</ubl:Invoice>

6. 例

以下は、指定された情報に基づいたUBLのXML例です：

<Invoice>
    <cac:PaymentMeans>
        <cac:PayeeFinancialAccount>
            <cbc:ID>3242394</cbc:ID> <!-- 口座番号 -->
            <cbc:AccountTypeCode>1</cbc:AccountTypeCode> <!-- 口座種別：普通預金　注：ペポルでは未対応 -->
            <cac:FinancialInstitutionBranch>
                <cbc:ID>567</cbc:ID> <!-- 支店番号 -->
                <cbc:Name>ABC支店</cbc:Name> <!-- 支店名 -->
                <cac:FinancialInstitution>　<!-- 金融機関情報　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:ID>1234</cbc:ID> <!-- 銀行番号　注：ペポルでは未対応 -->
                    <cbc:Name>XYZ銀行</cbc:Name> <!-- 銀行名　注：ペポルでは未対応 -->
                </cac:FinancialInstitution>
            </cac:FinancialInstitutionBranch>
        </cac:PayeeFinancialAccount>
    </cac:PaymentMeans>
</Invoice>

この例では、`3242394`が受取金融口座の識別子であり、`1234`が銀行番号、`XYZ銀行`が銀行名、`567`が支店番号、`ABC支店`が支店名を示しています。このように、適切な要素を使用して銀行名や銀行番号を指定することで、インボイスに含まれる金融機関情報を明確に伝えることができます。

7. まとめ

UBLでは詳細な定義が可能ですが、欧州規格に基づいて定義されているペポルでは未対応の要素が多いため、口座振り込みのときにはZENGINと同様の定義しかできません。
C４のアプリケーションは、UBLの定義では、それぞれ明確な意味が定義されたXML要素を処理することができますが、ペポルでは　1234:567:1:3242394　を分解して処理するといったXML文書らしからぬ個別処理が必要となります。

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投稿者:

Nobuyuki

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